中学受験のための学習塾の選び方静岡版
- 2022.04.22
小中高校生共通のものではなく、静岡県で中学受験をするときの塾の選び方です。
雑多になるので「塾が必要かどうか?」については論じません。

前提となる考え方中学受験の特異性
高校入試(中学生)や大学受験(高校生)との違いは、学校による受験サポートの有無です。
イメージ的には・・・
高校に行かずに難関大学の受験をする…
中学受験対策塾の利用は、受験に必要な情報提供やスケジュール管理をしてもらう目的もあます。
【鉄則1】マネジメントが充実していること
- 問題集の選定や進行ペースの管理
- 学校見学や模試などの情報提供や、入試要項のチェック
- 一般的な進路指導
理解できないことをどうするか?学校の学習と受験塾の学習の違い
受験塾は志望校合格に必要な学力を得るために利用するものなので、授業適応できなければ利用する意味自体が無くなります。
理解できないことが必ず発生する状況下では、理解漏れのまま次のインプットに進まない仕組みが備わっていることが重要になります。
【鉄則2】学力に合わせる仕組みがあること
- 自己解決できない理解不足を補完するためのマンツーマン解説。いわゆる個別指導。
- 定期的な学力テストによる学力別のクラス再編、もしくはカリキュラムの組み換え。
受験学年後期の特化対策過去問と実戦演習
6年生夏休み以降から冬休みは入試に備えた直接的な学習を行います。
注意点は、過去問や直前期の学習指導は個々の学校に特化したり物理的時間が膨大になるため、塾によって実施内容に大きな違いがあります。
過去問1年分に要する学習時間の目安
算数 | 国語 | |
---|---|---|
試行 | 1時間 | |
解説(授業型) | 3時間 | 2時間 |
解説(質疑応答型) | 4~6時間 | 1~2時間 |
類問を併せた練習 | 5~7時間 | 1時間 |
【鉄則3】受験直前期の対策をしていること
- 過去問の実戦演習と解説
- 予想問題による慣熟や個別の質疑応答
「受験対策塾」を選ぶ条件を満たしている塾は決して多くない
ここでいう「受験対策塾」の定義は、先述の3つの鉄則をすべてクリアしている塾です。
受験塾を探したり検討するときは、お値段や評判は後回しで受験対策塾(受験塾)であるかの確認が最優先です。塾全体としては満たしていても、選ぶコースによっては満たしていないこともあります。
「受験塾」以外の塾を選んだ時に発生しやすいリスク
- 転塾の必要性が発生しやすくなる。
- 非効率な掛け持ちに流れがち。
- いわゆる「マイペース」に合わせたことで入試日までに必要なインプットが間に合わない。
- 解けるようにはなるがスピードが足らないので得点が伸ばせない。
- 実戦を模した演習をする機会がない。
- 受験情報が提供されないので志望校を決める手がかりがない。
集団指導型の受験塾特段の理由がなければ大手一択
集団指導塾のサイクルは次のようになります。
- 学習計画(カリキュラム)に基づいた対面授業を受ける。
- 自宅や自習室で復習や練習課題を消化する。
- 定着テスト(塾の定期テスト)を受ける。
理解に問題がある場合
- 規定時間外で個別指導を受ける。
- 難度の低いクラスに降級する。
多くの人が想像している進学塾のイメージですが、実際に検討すると問題になることが2つあります。
大手以外は受験塾の条件を満たしにくい
前述サイクルの「理解に問題がある場合」を満たせるかどうかは塾の事業規模が大きく影響します。
たとえば「学力別クラス」を設けるためには物理的なハコと生徒募集力(広告力)が必要ですが、首都圏と違って受験人口も受験対象校も少ないため、同一地域で校舎規模を大きくしにくい事情があります。
確保すべき予算は「2年間で週1回コース月謝の100倍」
多くの集団指導塾では価格競争のために講座が細分化(オプション化)されており、一部のオプションは利用前提で長期計画が組み立てられています。
たとえば夏季講習は「夏休みは授業の回数と時間が多いので月謝も高い」という認識です。
もちろん不要な講座はとる必要はありませんが、必須オプションは利用しないと本来見込まれる学力に到達しにくくなります。受講前提の講座かどうかの判断ができなければ「勧められるものはすべて買う」でなければリスクになります。「予算がないので必要な講座を受けさせられない」という事態は避けなければなりません。
こういう性質なので予算段階ではフルオプション前提で検討する必要があります。
参考:「月謝の100倍」の内訳
算国基礎(基本コース) | ¥15,000 〔×24〕¥360,000 |
---|---|
算国発展(週1回) | ¥20,000 〔×24〕¥480,000 |
志望校特化(週1回) | ¥15,000 〔×24〕¥360,000 |
基礎固め(週1回) | |
4年生春季講習(6日) | ¥20,000 |
5年生夏季講習前期(6日) | ¥30,000 |
5年生夏季講習後期(6日) | ¥30,000 |
5年生冬季講習(6日) | ¥30,000 |
5年生春季講習(6日) | ¥30,000 |
6年生夏季講習前期(6日) | ¥40,000 |
6年生夏季講習後期(6日) | ¥40,000 |
6年生冬季講習(6日) | ¥40,000 |
6年生冬季講習年末年始(3日) | ¥20,000 |
集団指導系合計 | ¥1,480,000 |
個別指導(週2コマ:1年) | ¥30,000 〔×12〕¥360,000 |
個別指導込み合計 | ¥1,840,000 |
個別指導型の受験塾個人経営塾に多い分野
いわゆる「授業をしない進学塾」です。現役生対象の大学受験塾では近年主流になりつつあります。
- 自習教材を使用し、自宅や自習室で学習計画に基づいた学習をする。
- わからない部分について、塾の時間に質疑応答。
- 【OKの場合】次のカリキュラムに進む
- 【NGの場合】もういちど繰り返す。もしくは学習計画を再編して難度を下げる。
提供されるテキストは授業の代用となる丁寧な解説がついていることが特徴です。近年は映像教材を使用する塾も増えています。
学習内容(カリキュラム)を個人の学習到達に合わせ続けるため、構造的に脱落が発生しないのが特徴です。
向かない人は何も得られない
個別指導型受験塾の学習効果は「学習指示(課題)をキチンと守る」という前提で成り立ちます。逆に言えば、学習指示を守らないとまったく効果がなくなります。
年齢的に小学生の場合は学習課題の履行について家庭のサポートが必須です。
失敗につながりやすい選び方これだけは絶対に避けたい
「安い塾」というキーワードで探す
ほとんど自滅行為です。
中学受験は「大人がビジネスの価値観で積極的に関与する試合」です。そこに挑む姿勢として「安い塾」という発想はさすがに場違いです。
学校の友達と同じ塾に行く・ママ友の紹介で同じ塾に行く
経験上、超高確率で慣れ合いやマウントの取り合いのいずれかに行きつきます。
また、受験は友達も競争相手です。害する努力の話ではなく、「友達は合格したが自分は残念だった」「自分は合格したが友達は残念だった」ということは普通にあります。
同じ塾を選ぶことと、塾に行ったら知った顔がいたり塾で友達ができることは、似ているようで全然違います。
ネットの評判で良し悪しを判断する
お子様が実際に合格するとわかりますが、塾に対する感謝の気持ちをネットにコメントする人は非常に稀です。肯定コメントの多くは塾による自作自演、塾の指示、あるいは「業者」によるものです。(投稿日時を見るとだいたいわかります)
また、「ある人にとっては良くても自分にとってはそうではない」ことは普通にありますし、コメントをする保護者と学習指導を受けた子供が同じ印象をもっているとも限りません。
改変履歴
- 【2022.04.22】集団指導塾利用時の費用総額例を追加
- 【2022.01.16】塾全体ではなく中学受験に限定した内容に改変
- 【2022.01.04】初版