塾の掛け持ちは厳禁ですっ!

  • 2023.02.20

塾の掛け持ちは学力停滞を引き起こす最大級の原因であり、絶対にやってはいけないことです。

学習サイクルのページを先に読んでいただくと理解が早いと思います。

掛け持ちはどんな状態をいう?

本来ひとつであるべき学習サイクルが、複数の塾利用によってパラレル化(並列化)することです。

1つの学習サイクルを1冊の問題集として考えるとイメージしやすいです。

複数塾の掛け持ちによって学習サイクルがパラレル化した状態

塾A:算数

学習サイクル

塾B:算数

学習サイクル

なるほど問題集は2冊になりますね。

掛け持ちではない状態

塾A:算数

学習サイクル

塾B:国語

学習サイクル

これは元々問題集は別ですね。

掛け持ちを肯定する意見はインプットしか見ていない

掛け持ちのメリットとしてよく挙げられるのは「ひとつの塾で足りない部分を補える」という考え方ですが・・・

  • 学力は「サイクルの循環」によって伸びるものなので、「補う」ためにはそれぞれについて「練習・定着確認・補完」の行程が必要。
  • 知識学習には「体系」があり、その消化には「順序」がある。順序が違うと漏れや二度手間が生じやすくなる。(長期で見た効率が悪い)

時間や気力は有限ですからサイクルを増やせば個々の密度は薄くなります。

要するに勉強した気になるだけで中途半端に終始します。

そもそも根本的に「足りない塾」を選んでいるのが間違いです。たしかに「塾の1枠」で足りないことは普通にありますが、それは「回数増」で解決できます。

回数が多い塾は普通にあるのですから、最初からそういう塾を選べばいい話です。

〔併塾〕同一サイクル上にある複数塾の利用

直上のSTEPに準拠(連続)する複数塾利用は併塾と呼びます。

複数の塾で異なる問題集(サイクル)を使うのではなく、同じ問題集を使うケースです。

併塾のサンプル
行程 学習場所 使用問題集
STEP1 学校 問題集A
STEP2 塾A 問題集A
STEP3 (学校) 問題集Aに基づくテスト
STEP4 塾B 問題集A

併塾はサイクルがパラレル化しないので「掛け持ち」ではありません。

問題集は、出版社は異なっても「同一単元・同一難度」であれば問題ないです。

公立小中学校の授業はだいたい同じだから、学校が基軸なら選択肢は結構ありそうですね。

STEP1が「塾」だと併塾の選択肢は限られる

STEP1が塾の場合の併塾サンプル
行程 学習場所 使用問題集
STEP1 塾A 問題集A
STEP2 塾B 問題集A
STEP3 塾A 問題集Aに基づくテスト
STEP4 塾C 問題集A

インプットの塾で使用している問題集を持ち込めないと学習サイクルが循環しません。

他塾の問題集を持ち込むのですよね。条件厳しいような?

同一サイクル上の学習ができる塾の選択肢

  • 集団指導の受験塾と同じ経営母体や業務提携している個別指導塾(基本かつ推奨)
  • 教材持ち込みができる個別指導塾や家庭教師
  • オンライン家庭教師

実際に探してみるとわかるけど、対応してる塾は非常に少ないです。

個別指導塾ならなんでもいいわけではないのですね。

中学受験は否応なくサイクルが分断する

中学受験の学習は、学校より深い深度を学校より短い授業回数で、6年生の前期までに完了させる必要があります。このため学習計画は「教科書学齢」ではなく「小学校全範囲の体系」で組み立てられるため、学校サイクルとの並行は困難です。

よって勉強の基軸は「学校外」におく必要があります。

学校:算数(使えない)

学習サイクル

塾:算数(基軸)

学習サイクル

塾が勉強の基軸になるということは、「掛け持ちの相手」は学校ということになります。

距離をおいて付き合うことも必要か。

本来あるべきは「学校優先・塾は必要最小限」

受験塾に通う場合、塾で行う科目は「塾優先・学校無視」が最大効果を発揮します。ゆえに塾で行う科目が多いほど学校が足枷になってしまうのは真実です。

しかし学校は受験や学力が全てではありませんし、その意味において塾は学校の代わりにはなれません。学校軽視の考え方は人間形成において良くないと思います。

中学受験は掛け持ち状態になりやすい

学校が使えないので塾を基軸に勉強を進めますが・・・

  • 学習計画はSTEP1が基準
  • STEP3はSTEP1と同じ提供元が行う
  • 殆どのケースでSTEP4は必携になる

懸念される問題は次のとおり

  • 集団指導塾の場合、STEP4は基本的には行わない。また、STEP3が機能しているかは塾による。
  • 個別指導塾の場合、STEP1を行う塾と行わない塾がある。STEP1を行わない塾はSTEP3も行わない。
  • STEP2は基本的に指導時間中には行わない。自習室の有無は塾により、有効性は人による。
  • 自学自習の場合、STEP1とSTEP3はセルフマネジメントになる。小学生にそれは無理なので親力が全て。

彼方立てれば此方が立たない!

場当たり的に塾を選ぶと掛け持ちに流れたり、お金の切れ目が学力の切れ目になりやすい。

まとめ

浮気性は落ちる

ドラゴン桜2(講談社)

改変履歴

  • 【2023.02.18】刷新にあわせて雑多な内容を整理。
  • 【2022.06.30】新装版に変更。会話型コメントを追加。学校補習系のセクションと冗長な段落を削除。
  • 【2022.04.22】「問題集A/B」の比喩記述の追加と文脈修正。
  • 【2022.01.16】簡素化。
  • 【2020.06.16】初版