中学受験マンガ「二月の勝者」を静岡の事情で変換してみる

  • 2023.02.14

「二月の勝者」とは?

緻密な取材で大人の目線からみた中学受験のリアルがわかる作品です。

是非とも単行本で読んでもらいたい作品です!

このページは、作品で描かれる首都圏の中学受験と、静岡の受験事情との違いを書いています。

静岡の中学受験は「1月」です

静岡の中学受験は1月が本番。しかも「冬休み明けの最初の土曜日の午前中」に一斉開催です。

  • 準備日程が1ヶ月短い。
  • 「前受け」による予行演習やお守り収集ができない。
  • 冬休み明けに学校に行くかどうかの判断基準が違う。

冬休み明けの学校初日でお年玉の戦利品の話に巻き込まれたり感染症貰ったら即詰みします。

静岡の中学受験は「専願」です

静岡の中学受験は同日同時刻開催なので(基本的には)併願という概念がありません。

  • 一斉受験日以外は「条件付き方式」と「定員割れ校の二次募集」
  • 塾の進路指導は安全策優先。
  • ほぼ、志願倍率=実質倍率。

スベリ止めが無いので格上挑戦はしにくいです。

静岡の中学受験情報には「学校偏差値」がない

学校の偏差値は模試利用者の追跡調査によってつくられます。しかし静岡では該当する模試がないので学校偏差値も存在しません。

  • 合格難度の格差や自分の学力との差異を数字で計る手段がない。
  • ↑合否判定模試が存在しない。(過去問や塾内テストによる主観判定しかできない)
  • 「偏差値っぽい何か」に惑わされやすい。たとえばネットの偏差値情報。

静岡の中学受験規模は「首都圏の10%未満」

首都圏 静岡県 静岡:首都圏比
受験者数 50,000 3,000 1/17
対象学校数 234 33 1/14
通学圏比較
東京23区 静岡県中部
対象学校数 108 17 1/13
  • 上記の首都圏や東京23区のデータは四谷大塚のデータを元にしています。
  • 通学圏について、首都圏は交通網が発達しているので広範囲が対象になりますが、静岡県では「東・中・西・」で区別して考える必要がります。(1時間制限による)

県内受験者全員でもサピックスの半分です。

静岡の「大手」の中学受験塾は1つしかない

二月の勝者
  • 桜花ゼミナール
  • フェニックス
リアル関東圏
  • サピックス
  • 四谷大塚
  • 日能研
  • 早稲田アカデミー
静岡県
  • 秀英予備校(中部)
  • 佐鳴予備校(西部)

しかも「Aクラス」しかない

作品のメインステージとなる桜花ゼミナールのクラス区分は次のようになっています。

桜花ゼミナールクラス区分(平常時)
Ω(オメガ) 偏差値57以上で選抜
Aクラス 偏差値50程度(47付近で選抜)
Rクラス それ以外(受け皿)
  • 県内受験でオメガクラスに相当する学力が必要な受験対象校は無い。ゆえにこの学力帯を扱うのは県外受験専門塾のみ。
  • 受験規模が小さいので塾のクラスは学齢で分けられる。このためRクラスに相当する生徒もAクラスにいる。

首都圏に比べると脆弱…ですね?

組み分けテストによる学習指導の最適化が大手の特権的な強みですが、それがないと小規模塾に対する優位性が大きく下がます。

そしてこの件はページ最後の「あとがき」に続きます。

感動の受験にはなりにくい

作中で本試験が始まると「感無量!泣けてくる!」的な描写が多いですが…

無いですね。

熱い受験にはならないのか…

改変履歴

  • 【2023.02.14】初版