• 2022.07.10

100点満点のテストで自分の得点が70点の場合、平均点が60点の場合と80点の場合では良し悪しの評価は違います。また、「1位95点、2位40点、3位39点」だった場合、2位と3位の逆転は容易いですが、1位の壁はとても高いことがわかります。

そういった個人の得点率だけでは見えにくい「格差」をわかりやすくするのが偏差値です。

偏差値を見る前に

数字そのものは学力を示さない

偏差値はあくまで「その集計データの中での序列」です。同じ学力の人でも他の集計データで同じ偏差値になるとは限りません。

文字の説明ではイメージしにくいので実際に偏差値を計算してみよう。

学力偏差値の求め方

  1. 受験者の平均点を求める
  2. 「偏差」から「偏差の二乗」を求める。偏差とは、自己の得点から平均点を引いた値です。
  3. 「分散」を求める。分散とは、「偏差の二乗」の平均です。
  4. 「標準偏差」を求める。標準偏差とは、分散の平方根です。
  5. 「中央値」を決める(受験系では50)
  6. 〔偏差 / 標準偏差 〕× 10 + 中央値 = 偏差値

平方根は電卓の「√ボタン」で求められるぞ。

サンプル1:正規分布

正規分布とは、中央を挟んで前後(上下)にそれぞれ同じ数がある状態です。

正規分布
得点 偏差 二乗 分散 標準偏差 偏差値
80 20 400 200 14.14 64.1
70 10 100 57.1
60 0 0 50
50 -10 100 42.9
40 -20 400 35.9
合計300点 平均点60点

平均点の人に着目して話を進めるよ。

5人中の中間順位が偏差値50ですね。

サンプル2:受験者の学力に対して出題難度が低い

得点率が高くなり、平均点も高くなるケース。

高得点に偏り
得点 偏差 二乗 分散 標準偏差 偏差値
80 15 225 250 15.81 59.4
75 10 100 56.3
70 5 25 53.1
65 0 0 50.0
35 -30 900 31.2
合計325点 平均点65点

先程より15点多いですが、偏差値は50のままで順位が5人中4位に下がってしまいました…

上位3名を合格にするテストだと平均点だったら不合格だね。

サンプル3:受験者の学力に対して出題難度が高い

得点率が低くなり、平均点も低くなるケース。

低得点に偏り
得点 偏差 二乗 分散 標準偏差 偏差値
75 30 900 250 15.81 68.9
45 0 0 50.0
40 -5 25 46.8
35 -10 100 43.6
30 -15 225 40.5
合計225点 平均点45点

先程より20点も下がりましたし得点率も50%に届いていませんが、偏差値は50のままで順位は5人中2位に上昇!

上位2名を合格にするテストならこれで合格だね。

偏差値とは「その集団」で比較したときの格差。

模試偏差値の換算

集計母数が異なる偏差値情報を見比べるときは補正や換算が必要です。

偏差値のイメージ図

上記は中学受験の偏差値の意味や高校入試や大学受験の偏差値との違いを説明するときによく使われる図です。左の大きな円が小学生、右の小さな円は4年制大学を受験をする高校3年生(現役生)の人数を示します。

同年齢人口約30万人中、中学受験人口をおおよそ6万人で計算しています。

中学受験の偏差値50は大学受験だとGMARCHレベルなのですね。

GMARCH附属中学の要求学力はさらに高いぞ。

大学受験偏差値50=小学校のクラスメイトの6名前後

大学受験情報からたどっていくと、いわゆる中堅以上の大学に進学する(できる)のは1クラス36名中6人くらいです。

ぜんぜん中堅じゃない気がします!

学校の偏差値

受験情報の学校偏差値はどうなっているの?

学校偏差値のつくられかた

イメージ
  合否
太郎:模試偏差値45 ×
次郎:模試偏差値45 ×
三郎:模試偏差値45
四郎:模試偏差値50
五郎:模試偏差値50
六郎:模試偏差値50 ×
七郎:模試偏差値55
八郎:模試偏差値55
九朗:模試偏差値55
  • A学校は模試受験者の9人が受験したところ・・・
  • 追跡調査によって、模試偏差値45の人は3人中1人、偏差値50は3人中2人、偏差値55は3人中3人が合格していることがわかった。
  • この前例によると、この学校は偏差値55以上なら合格できると考えてよい。
  • よって学校偏差値は55。

偏差値とは言いますが、偏差ではなく標本調査です。

大規模な模試を主催する塾がつくっているのですね。

高校入試でおなじみの内申点ボーダー情報も同じしくみです。

余談:公立高校の学校偏差値(高校入試)

公立高校の偏差値はどうやっているのですか?全国規模で行われる模試はなさそうですが?

標本のとりかたのこともありますが、内申点の扱い方は都道府県によって違うのですから全国比較の学校偏差値をつくることはできない…と思います。

独自観点によるランキングなのですね。

模試偏差値の活用

筆記テスト勝負の受験をする人にとって最重要レベルの情報元です。

内申点勝負の公立高校入試や推薦入試では重要性が低いよ。

判定偏差値

学校偏差値の表示方法のひとつで、偏差値ごとの合格率の違いを段階ごとにあらわしたものです。

割合の変換表
  A B C D E
合格期待 80% 65% 50% 35% 20%
80% 65% 50% 49%以下
イメージ図
  合否 割合 判定
太郎:偏差値45 × 3人中0人 33%=E
次郎:偏差値45 ×
三郎:偏差値45
四郎:偏差値50 × 3人中2人 66%=B
五郎:偏差値50
六郎:偏差値50
七郎:偏差値55 3人中3人 100%=A
八郎:偏差値55
九朗:偏差値55

判定Aを基準にすれば偏差値55以上(A判定偏差値)、判定Bを基準にすれば偏差値50以上(B判定偏差値)となります。

合否判定(合判模試)

判定偏差値と同様にABCD変換を使ったもので、その人の模試偏差値が志望校に対してどの評価になるかを示しています。

逆引きする手間が省けて便利ですね。

注意が必要なのは、標本調査を行わない模試の判定は独自観点による補正(換算)があることです。

このため模試によって判定結果に相違があります。

それなりに判定がアテになる模試の条件

  • 対象校の受験者数の50%以上が利用している
  • 実質倍率予測による合格予想点が反映されている
  • 模試の出題様式と難度のバランスが実際の入試問題と概ね同じ

四谷大塚の全統小模試は、県内受験では上記条件を満たしていないので注意。

E判定からの逆転合格は本当?

「基本的」には、ありえない。

AB判定の人は完成している学力だけではなく「学習処理能力」もDE判定の人に比べて高いので、直前期の追い込みによってむしろ差は拡がります。

競争相手も伸び続けていることを忘れてはいけないです。

DE判定で合格する例

  • その模試が合否判定の要件を満たしていない。(判定材料として不適切)
  • その時期ではまだスコアリングポジションに届かない学習計画で進めている。つまり予定通り。
  • 合判模試の当日の体調やメンタルが最悪レベルで不調だった。つまり前後の試行ではAB判定相当の結果が出せている。
  • 内申点や面接の得点化などによって筆記試験のウェイトが大きくない受験方式。(筆記だけで合否予測ができない)
  • 何らかの理由で当年度の志願倍率が大きく下がった。(逆のケースもあります)

本命校のA判定は歓迎できない?

A判定は、慢心をうむ。

A判定で残念になる例

  • その模試が合否判定の要件を満たしていない。(判定材料として不適切)
  • 面接や志望理由書でアドミッションポリシーを理解していないと判断される言動をとった。(塾依存者に多い)
  • 志望校の選定に受験者本人の意思が反映されていない。(保護者意向が強すぎたり塾の合格実績稼ぎに振り回された)
  • 不合格になったときのこと(進路予定)を具体的に決めていない。
  • 冬休みにパーティーや帰省や旅行をした。

最終防衛ライン(スベリ止め)はA判定の学校にしておこう。

まとめ

有効活用には意味の理解が必要。

改変履歴

  • 【2022.07.10】新装版に変更。会話型コメントを追加。
  • 【2022.01.16】ナビゲーション整合性のための文脈修正と冗長箇所の削除。
  • 【2019.10.01】初版

サブコンテンツ全体の刷新作業を行っています。

2022年11月23日から2023年3月末頃(予定)