2019年大問9:組み合わせ
ふくろの中に、赤、黄、白、緑の4色の玉がたくさん入っています。このふくろの中から同時に3個の玉を取り出します。このとき玉の取り出し方は全部で何通りありますか。ただし、ふくろの中には全ての色の玉がそれぞれ3個以上入っています。
【原文のまま引用】
「色玉取り出し」の基本的な問題です。
このページでは、計算による解き方がいまひとつ理解できないケースを想定して、樹形図の描き方と工夫を中心に解説しています。
入試問題にも力技OKと明記されているので、得点にしたい問題です。
- 組み合わせと並べ方(小学6年)
- 難度目安 【 基礎 】
状況整理
「白色」で描くと見にくくなるのでこのページでは「白→青」に置き換えて解説します。
設問文中の「ただし~」は解釈の相違を防ぐための補記なので気にしなくてOKです。
樹形図で考える
赤色を「含む」組み合わせ
通常の枝分かれ式の樹形図では、重複を除外しながら書き出すのはかなり大変です・・・
表のレイアウトで書き出す
書き方のコツも解説するので段階的に進めていきます。
赤 | 黄 | 青 | 緑 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 |
玉を3つ取り出すので、取り出すマスに印をつけていきます。
ただし・・・
赤 | 黄 | 青 | 緑 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
2 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
3 | 〇 | 〇 | 〇 |
上記の2行目と3行目は両方とも「赤2、黄1」なので、そういうものは除外します。
また、動かす印が何番目なのかわかるように、各色の「左・中・右」を区別して配置すると尚良しです。
赤 | 黄 | 青 | 緑 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
2 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
3 | 〇 | 〇 | 〇 |
こうすれば先のような重複は回避できます。
赤 | 黄 | 青 | 緑 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
2 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
3 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
4 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
5 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
6 | 〇 | 〇 | 〇 |
5行目に着目ですが、この流れで6行目のように書いてしまうと見落としが発生しやすくなります。
1つの色につき動かす印は1つというルールをつくれば見落とししにくくなります。
そこで、5行目からは基準の色を黄色に変えます。
赤 | 黄 | 青 | 緑 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
4 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
5 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
6 | 〇 | 〇 | 〇 |
黄色も1つの印が全色に行きわたったら、基準の色を青に変えます。
以降も同様です。
赤 | 黄 | 青 | 緑 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
2 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
3 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
4 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
5 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
6 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
7 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
8 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
9 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
10 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
11 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
12 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
13 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
14 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
15 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
16 | 〇 | 〇 | 〇 |
行番号をつけながら書き出していけば、全部で16通りあることはすぐわかります。
しかしまだ答えではありません。
まだ数えていない組み合わせ
赤 | 黄 | 青 | 緑 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
5 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
6 | 〇 | 〇 | 〇 |
前半の解説で、見落とし回避のために上記6行目のような書き方をしないルールをつけましたが、これによって「全色違う色」の組み合わせを書き出していません。
赤 | 黄 | 青 | 緑 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
17 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
18 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
19 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
20 | 〇 | 〇 | 〇 |
答え:20通り
6行目のルールがまわりくどい気もしますが、それは「眺めている」からそう感じることです。
実際に手を動かしながらこの解説を見ている人なら気づいていると思いますが、このやり方のほうが断然スピードが早く脳の疲労も少ないです。
なぜなら6行目のルールを設けることでこのマス埋め作業は、「まず同じ色を2マス埋め、残り1個を各色に分配する」だけになるからです。
慣れたら・・・
「マスに印」のかわりに数を書き込みます。
赤 | 黄 | 青 | 緑 | 合計値 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | 3 | |||
2 | 2 | 1 | 3 | ||
3 | 2 | 1 | 3 | ||
4 | 2 | 1 | 3 | ||
5 | 3 | 3 | |||
6 | 1 | 2 | 3 | ||
7 | 2 | 1 | 3 | ||
8 | 2 | 1 | 3 | ||
9 | 3 | 3 | |||
10 | 1 | 2 | 3 | ||
11 | 1 | 2 | 3 | ||
12 | 2 | 1 | 3 | ||
13 | 3 | 3 | |||
14 | 1 | 2 | 3 | ||
15 | 1 | 2 | 3 | ||
16 | 1 | 2 | 3 | ||
17 | 1 | 1 | 1 | 3 | |
18 | 1 | 1 | 1 | 3 | |
19 | 1 | 1 | 1 | 3 | |
20 | 1 | 1 | 1 | 3 |
計算の解き方を覚える前に、まずこれが素早く正確にできることが重要です。
何度も繰り返せば、「これって結局は同じこと繰り返しているだけじゃん?」と気づくことがあります。
計算の解き方を覚えるのは、その「気づき」が出てからです。
計算で解く
動かしている印をわかりやすくするために色をつけました。
赤 | 黄 | 青 | 緑 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
2 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
3 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
4 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
5 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
6 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
7 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
8 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
9 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
10 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
11 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
12 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
13 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
14 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
15 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
16 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||
17 | 〇 | 〇 | 〇 | ー | ||||||||
18 | 〇 | 〇 | ー | 〇 | ||||||||
19 | 〇 | ー | 〇 | 〇 | ||||||||
20 | ー | 〇 | 〇 | 〇 |
行番号に対応する色をつけるとさらにわかりやすくなりますが、「赤2個」を含む組み合わせは行番号1~4の4通り、同様に「黄2個」を含む組み合わせは行番号5~8の4通りです。
つまり、同色玉2個を含む組み合わせは1色につき4通りあることがわかります。
このことから・・・
〔1色ごとの組み合わせ数〕×〔色数〕
〔4通り〕×〔4色〕=16通り
・・・という計算式で求められることがわかります。
17~20行目は「同色1個」の組み合わです。
よって全ての組み合わせは「16+4=20通り」となります。
【別解】計算式だけで解く
樹形図で紹介した表が書ける前提ですが・・・
次のように3つに区分して計算します。
- 全色が同じ組み合わせ
- 全色が異なる組み合わせ
- 〔同色2個〕+〔別色1個〕の組み合わせ
A:全色が同じ組み合わせ
4色あるので4通りです。
即答できなければ、このやり方は覚えないほうがよいでしょう。
B:全色が異なる組み合わせ
4色中3色を選ぶということは、「選ばれない色」が1色あると考えます。
つまり4色あるので4通りです。
1 | ||||
---|---|---|---|---|
2 | ||||
3 | ||||
4 |
前セクションの色分けした表の16~20行目をみるとわかりやすいです。
C:〔同色2個〕+〔別色1個〕の組み合わせ
3玉選ぶので、同色を2個選び、もうひとつはそれとは違う色を選ぶと、1色あたりの組み合わせは「全4色ー同色の1色=3通り」です。
1 | |||
---|---|---|---|
2 | |||
3 |
この組み合わせが4色分あるので・・・
〔3通り〕×〔4色〕=12通り
この解説例は「同色2個+別色1個」で考えているので、「赤2個+赤1個」のような組み合わせは「A:全色同じ」でカウントしています。
前セクションの解説は「同色2個+同色を含む1個」で考えていますので、それで進めるなら「A:全色同じ」は計算対象には入れないようにします。
どちらのやり方でもOKですが、混同しないように注意しましょう。
A+B+C
A4 + B4 + C12 = 20通り
余談
組み合わせや並べ方の問題の正答率はあまり高くない傾向です。
学校テストレベルの「コインの裏表」や「3色の組み合わせ」は短い樹形図で済みますが、受験算数で出てくる「4色以上」や「選ばれないもの」が混じるものを書き出す作業は非常に時間がかかります。しかも書き出させても多くは間違いだらけです。
そういう状態になると集団指導塾では授業が進められませんし、個別指導塾では指導時間の半分を樹形図の修正に費やすことになるため、型にハメて落とし込める計算で解くやり方を教えて「樹形図は書けるように練習しておいてねー」で流してしまいます。
結果、教えてもらった計算で解くやり方は実戦では使えず、練習していないので力技でも解けない・・・というのが低い正答率の理由ではないかと思います。
静岡学園中学の受験を検討中の方

入試傾向と対策学習のご案内はこちら。
サブコンテンツ全体の刷新作業を行っています。
2022年11月23日から2023年3月末頃(予定)