中学受験対策は何年生から始めるのがよい?

  • 2025.11.15
学習塾のお悩み相談

様々に言われるこのテーマ。実際にはどうなのか?

このページはこのテーマにありがちな「べき論」ではなく、入試日から逆算でそれぞれの時期に行う学習内容を挙げていきます。

お読みになりながら「この時期からで間に合うか?」を考えてみてください。

  • 静岡県中部エリアの状況で書いています。
  • このページは独自研究です。

受験対策で行う学習とは?

本題の前に、受験対策で行う勉強の種類を整理します。

単元別学習

「割合」や「図形の面積」というような、教科書や日常学習用問題集の題目になっているのが学習単元です。

先取学習

前述「単元別学習」と同じですが、学校未習の単元を行う場合はこのように呼びます。

「学校でやることをわざわざ先に学習する必要があるのか?」と疑問を投げる人がいますが、これをしないと後述の本番レベルや実戦演習をする時間がつくれません。

本番レベルの学習

実際に入試問題で出題されたものや、それを元に作成された類問のことです。

単元別学習との違いは、ひとつの問題に複数の単元知識が混在していることと、その問題を解く上でどの単元知識を使うかが示唆されていないことです。

実戦演習

過去問や入試問題と同様式の予想問題を使った学習です。

前述の本番レベル学習は「解き方」の習得が目的であることに対し、実戦演習は時間配分や記述方法を習得すること、すなわち「テスト慣れ」が目的です。

6年生 冬休み:実戦演習入試2週間前

この時期の学習には「やってはいけないこと」があります。

  • 既知の知識で解けない問題に手を出す

やってはいけない理由は…

2週間では定着しないし、解けないと焦燥や自信喪失の原因になりかねない。

この時期の学習は「既に解いた問題集や過去問を再試行」やその類問に限ります。

すなわちこの時期までに一通りの学習は終わっている必要があります。

6年生 11月:出願校最終決定入試2ヶ月前

一般的な受験対策ではこの時期に「合否判定」を行います。

模試や予想問題で志望校の合否の予想をして出願先の最終決定をするするわけですが…

合判模試の時点で推定合格点以上がとれる必要があります。

すなわちこの時期までに一通りの学習は終わっている必要があります。

6年生 9月:過去問学習入試4ヶ月前

冒頭で挙げた「本番レベルの学習」をします。通常一般的には「過去問(過去の入試問題)」やそれを抜粋した問題集を使います。

しかし受験を知らない人はここでとんでもない間違いをしますが…

単元別学習が終わっていないと本番レベルは着手できません。(着手しても進みません)

学校行事や模試によるペース低下を考慮しつつ前述の「合判時期」までに結果を出すためには少なくとも2ヶ月以上の期間を確保したいです。

…であれば、単元別学習は夏休みまでに終わっている必要があります。

6年生 夏休み:単元別学習の総仕上げ入試半年前

前述とつなげて考えると、夏休みが終わるまでに単元別学習を消化することが重要であるとわかります。

この点で見落としがちなのは…

6年生後期に学校で習う単元は先取り消化が必要です。

先述で少し触れたとおり、本番レベルの学習時に単元知識の基礎にさかのぼるのは非効率ですし、塾の学習でその時間は与えられません。 結果、夏休み期間で消化できなかった単元知識を使う入試問題は「得点見込み」にカウントできなくなります。

この時期の「前」までに一通りの単元学習が終わっている場合

夏休みはステップアップに使えます。

志望校のランクを上げられるのは、夏休み前までに標準難度の単元学習が終わっている人の特権です。

そもそも単元学習の物量は?

当塾の標準的な教材で使用している「Z会グレードアップ問題集」で行う場合…

4年~6年の総単元数=135。これを2周(復習1回)まわして270。週4回試行(通塾2回と休日1回を除外)とすると、約1年3ヶ月(67週)かかる計算になります。

夏休みなどのペースアップを加味するとおおよそ1年くらいです。

6年生 進級直後入試8ヶ月前

6年生進級=1年前という認識をしがちですが、入試まで9ヶ月です。

単元学習ができる期間で考えると残り5ヶ月。 さらに学校行事や5月連休で塾探しや塾に慣れるまでの期間を差し引くと、実際には3ヶ月程度しかありません。

既に逆転合格の領域です。

5年生 冬休み明け入試1年前

静岡の中学受験は冬休み明け最初の土曜日に一斉実施されます。(首都圏より1ヶ月早い) つまり冬休みが明けると入試のちょうど1年前です。

単元学習の期限となる6年生夏休みから逆算すると、2月1日スタートで8ヶ月。標準ペースに対して1.5倍速は健全な学習計画がギリギリ通用する範囲ではないかと思います。

5年生 夏休み明け入試1年4ヶ月前

夏休み明けは、単元学習の期限から逆算するとちょうど1年前です。余裕があるわけではないですが、無理のない学習ペースで必要学習を網羅できます。

志願倍率に甘えない受験をしたいなら遅くてもこの時期から。

5年生 進級~夏休み前入試1年8ヶ月前

前述からみて2ヶ月プラスですが、夏休みがあるので消化ペースが向上します。順調に進めば単元学習は6年生夏休み前に終わるので、最後の夏休みをステップアップに使えます。

逆に、順調に進まなくてもリカバリーに余裕がもてます。

夏休みが「2回」あることで一段高いレベルの到達が期待できます。

4年生 冬休み明け入試2年前

一般的な中学受験情報で推奨されている「2年前」がこの時期です。

10歳の子供にとって「塾慣れ」や基礎学力の見直しをゆっくりやれることは大きなメリットです。

4年生 夏休み入試2年半前

全国レベルの難関校を目指すのでなければ、早期開始のメリットは「塾の席確保」くらいしかないのが実際のところです。

静岡県中部エリアには全国レベルの難関校はありません。

まとめ

中学受験は心身の成長発達の影響が大きい年齢で行うため、高校入試や大学受験の常識が通用しないこともありますし、「早すぎる開始」や「過負荷」は健全な成長を阻害する可能性を否定できません。

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  • 【2025.11.15】初版