角度情報がない図形の合計の角度補助線と対頂角と錯角で見えない角度を探す

2019.10.01
星型多角形の発展問題で、中学数学では「図形の相似合同証明」の前提知識で習います。
数字的情報が一切ないのにどうやって解くのかが難しそうですが、これはそういう問題ではありません。
- 対頂角と錯角(小学4年)
- 多角形の角度(小学5年)
この問題のルールネタバレ
角度につながる情報が一切なければ個々の角度は絶対に出せません。
それでいて「合計」を問うということはつまり、答えは必ず「n角形の内角の和=180度の倍数」になります。なぜなら・・・
- 直線のみで構成される平面図形は三角形(180度)の集合体でできている
- 個々の角度を得る情報が一切与えられなければ数字で答えられることは内角の和しかない
つまり、答えを180の倍数にしないと問題として成立しないわけです。
チートな解き方
答えが必ず180度の倍数になる性質を利用すれば、この問題は思考ゼロで正答できます。
- 問われている角度を目分量で三角定規の角度にする
- 出した数字を全部足す(合計を出す)
- ↑多角形内角の和である180°、360°、540°、720°…に最も近いものが答え
誤差±90度まで許容範囲ですから乱暴に採寸してもまず外さないです。
いちおう念のため書いておきますが、こんなやりかたは算数でも数学でもありません。
テキスト学習はあんまりお勧めしない
ありていにいえば、算数マニアのゲームです。
面白いと思うならぞんぶんに遊べばいいと思いますが、だったらネットで解き方を調べるのはゲームの興を削ぐだけなのでやらないほうがいいと思います。
算数遊びに興味がなければ解けたところで「だから何?」で終わってしまう問題ですし、アクティブラーニングでなければ結局は雑学に終始してしまうので、一人で向き合う勉強にはあんまり向かないと思います。
ですから先にチートなやり方を書きましたので、宿題を片づけたいだけならここで終わって大丈夫です。
解答例補助線をひいて対頂角で動かす

まずはこんな感じで補助線をひいてみると、六角形ができます。
等積変形の考え方をつかってみる
等積変形とは面積を変えずに図形を別の形にすることです。平行四辺形や三角形の面積を求めるときに図形の一部を切り取って別の位置にはめ込むようなイメージです。

今回は面積ではないですが、変形によって一辺の長さや個々の角度が変わっても内角の合計は変わらないことを認識するついでに言葉を覚えましょうということです。
とにかくまぁ、元の図形を無視して正六角形の補助線を描き、元の図形の各頂点を六角形の頂点に合わせ、見やすくするために内側の三角形も一辺を六角形に揃えると、こんな感じになります。

変形前と変更後で理解することは、元の問題の角度の合計と上図の「角度の合計」は同じであることです。
解き方のながれを整理
- 黒点が「n角形の内角」になるように変形したり補助線をひく
- 内角の位置にならなければ対頂角や錯角で「移動」する
変形しても内角の合計は変わらないなら、変形や補助線をつかって「n角形」をつくればよいです。
これを堅苦しく説明すると下図のようになります。

対頂角と残りの2角の合計
元の図形で、補助線をひいてできたふたつの三角形に着目します。(図中、赤線)

この状態だと次に何をすればいいかわかりにくいかもしれないので、次のように大胆で思い切った変形をしてみます。

上図は、補助線でつくった三角形を正六角形を構成する「正三角形」に変形し、元からある小さな三角形を「相似の三角形」に変形しています。
先ほどつくった変形図にかぶせるとこんな感じになります。

相似の関係ですから小さな三角形の黒点(図中は赤点)は★点の角度と同じです。
図例の変形は「正三角形」にしたので、(正三角形の定義によって)赤線で囲っている三角形の内角は全て60°ということがわかります。

つまり、内側の三角形にある黒点2つは補助線でできた三角形に「移動」できます。もちろんそれは他の小さな三角形でも同じことがいえます。
この時点で別解がありますが、それはセクションの最後で書きます。
であれば・・・

一見すると乱暴ですが、変形しても角度の合計は変わらないとはこういうことです。
移動したら元の図形の線を薄くしてみましょう。

点は六角形の内角を構成する全ての箇所を埋めていることがわかります。
点がそれぞれ何度かはわかりませんが、キッチリ埋っているなら角度の合計は六角形の内角の和に等しいはずです。
六角形なので720度。
別解

「他の三角形でも同じことがいえます」ではなく、同じことをやってしまうとこうなります。

小さい三角形は5つしかないのでポッカリ空いた場所ができますが、余ってる60°がふたつありますね。
おまけ:チート技の検証

- 60°×5個=300°
- 45°×4個=180°
- 30°×7個=210°
- 300+180+210=690
- 最も近い180の倍数=720(当たり)
こんな雑な技で攻略できてしまうとは・・・