円を分割する線の本数
- 2022.04.23
- 2020.10.01
円周上の2点を通る直線を1本引くと、円は2つの部分に分かれます。さらに別な直線を引くと、3つか4つの部分に分かれます。
2017年大問10
弦による円分割問題は漸化式(高校数学)の活用例題で使われるもので、小学生にとっては超難問だと思います。
難しい
たまに出る
- 規則性(数列)
- パスカルの三角形
小問1
次の図形は、あと1本別な直線を引くと、5つか6つか7つの部分に分けることが出来ます。それぞれの場合を図に書きなさい。
小問1は、「問題」というよりルールの説明です。
この類の問題が初見なら力技で解くしかないですね。
小問2
円を出来るだけ多くの部分に分ける直線の引き方を考えたとき、4本だといくつに分けることが出来ますか。
ここも力技。
状況を書き出してルールをつかむ
試したことは書き出せるはずです。
線の数 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|---|
分割数 | 1 | 2 | 4 | 11 |
倍→倍できてるので「1.2.4.8.16」かと思いましたが、違いました。
書かなきゃわかることも気づかない。
規則性を見つける
以降の小問を見ると、「5本の場合」「分割数が50を超える」という問題が続いています。
この段階で規則性を見つけられるかどうかで以降の取捨選択します。
線の数 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|---|
分割数 | 1 | 2 | 4 | 11 |
線の数 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|---|
分割数 | 1 | 2 | 4 | 11 |
色ぬりのマスに着目。
「線の数」と「ひとつ前の分割数」の和になっていますね。
こういう規則をフィボナッチ数列と呼びます。
つまり小問2の答え「11」は・・・
線の数 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|---|
分割数 | 1 | 2 | 4 | 7 | 11 |
規則に沿っていますね。
フィボナッチ数列は受験問題集以外でも発展形の問題集でよくとりあげられています。
また、静学公式ブログ「静学からの挑戦状」では頻出です。
他校志望なら流していいけど静学志望なら解けなきゃならないです。
小問3
円を出来るだけ多くの部分に分ける直線の引き方を考えたとき、5本だといくつに分けることが出来ますか。
小問2の段階で規則を見つけていればサービス問題です。
線の数 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|---|
分割数 | 1 | 2 | 4 | 7 | 11 | 16 |
答え:16
規則を見つけていなければ鬼問題ですね・・・
それが静学の入試問題の特徴。
式をつくってみる
線の数をnとした場合・・・
分割数=〔(n+1)×n÷2〕+ 1
このあたりまで考える余力があると尚良しだと思います。
小問4
分かれた部分が50をはじめてこえるのは、何本の直線を引いたときですか。2や3の規則性を考えて答えなさい。
ここに至ってはじめて「規則性」という言葉が出てきました。
力技では解けないってことを示唆してるのだと思います。
線の数 | 4 | 5 | ? | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
分割数 | 11 | 16 | ? | 50以上 |
力技で解く
そんなに遠そうではないから表を埋めていけばいい?
線の数 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
分割数 | 11 | 16 | 22 | 29 | 37 | 46 | 56 |
答え:10本
別解:計算で解く
先ほどつくった式にあてはめてみます。
線の数をnとした場合・・・
分割数=〔(n+1)×n÷2〕+ 1
n=9とした場合
〔(9+1)×9÷2〕+ 1
(10×9÷2)+1=46 <50
50より小さいのでもう少し大きな数字で試します。
n=11とした場合
〔(11+1)×11÷2〕+ 1
(12×11÷2)+1=67 >50
50より大きいので条件は満たしていますが、もう少し近寄ってみます。
n=10とした場合
〔(10+1)×10÷2〕+ 1
(11×10÷2)+1=56 >50
9~11で試したところ、設問条件に合うのは「n=10」のようです。
この問題の場合は力技のほうが速いですね。
余談(高校数学)
弦の数 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|---|
交点の数 | 0 | 0 | 1 | 3 | 6 | 10 |
最大部分領域数 | 1 | 2 | 4 | 7 | 11 | 16 |
最大部分領域数=〔弦の数〕+〔交点の数〕+1
交点の数は〔+0.+1.+2.+3.+4…〕で増えていきます。(階差数列といいます)
ちなみにこの問題は「弦による円分割」ですが、他に「点による円分割」の問題もあります。
サブコンテンツ全体の刷新作業を行っています。
2022年11月23日から2023年3月末頃(予定)